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「Life with Canvas 01」 " siijz "

絵を描くこと

物心ついた頃からずっと絵を描くことが好きだったという siijz さん。「鉛筆と紙がなければ、空に指で絵を描いていた」と当時を振り返る。
その表情から本当に絵を描くことが好きで、「鉛筆」と「キャンバス」は、siijz さんの生活の中で掛け替えのないものなんだな、と思いながらお話しを伺っていきました。
幼少期は、おもちゃ「せんせい」(絵を繰り返し描けるボード)で、“絵を描く、消す、また描く” を繰り返していた。描きすぎて壊れてしまい、何度も買ってもらった記憶がある。そうやって 1 人で描くだけで満足していた。しかし、小学生の時に参加した写生大会で賞を受賞した時、周りの人たちが自分の絵を見て感想を伝えてくれたり褒めてくれるという経験をした。自分のした事が認めてもらえたような感覚があり、絵を描くことがより一層楽しくなったという。高校生では、美術部に所属し、絵に関する基礎知識や技術を学んだ。そこからイメージを形にすること、表現の幅を広げることに楽しさを覚えていく。「新しい絵描いた?スケッチブック見せて」と、絵を楽しみにしていてくれる同級生もいて、自然と作品の数も増えていった。

挫折をバネにのめり込んだ鉛筆画

絵を描くことを通じて得ることのできた喜びや楽しさを語る一方で、絵を描くことで経験した苦い思い出もあると言う。「絵を描くことは好きだけど、色を塗るのは苦手だった...」小学校の図画工作の授業で、絵の具を使って絵を描いた時のこと。下書きは上手いと先生に褒められた。しかし絵の具で色を塗るとイマイチになってしまい、先生に首をかしげられた。その経験から、「色を塗ること」に苦手意識を抱くようになったという。その苦手意識から、「色を使わなくても、鉛筆だけで見応えがある絵を描けたら」と、鉛筆画に力を入れるようになる。
これまで使い切った鉛筆は数知れず、費やしてきた時間も計り知れない。

絵を描くこととアートが身近にある生活

“絵を描くことと絵のある生活“ について尋ねると、
「例えば好きな絵を壁に飾って、ふと眺める時間があるとします。日常の中で何気なく訪れるその時間は、きっとその人の心を豊かにするはず」と話す siijz さん。
「人はどうして絵を描くのか、なぜ絵を見るのか。その思いを作品の中に見つけてもらえたとしたら、それは絵を描く人にとってはこの上ない幸せだと思います」という言葉に、私自身が、siijz さんの作品を生活空間に置くことで、幾度となく心豊かになり、沢山の”FUN(楽しみ)” を頂いていたことに改めて気付きました。
幾年月も鉛筆画に力を入れ取り組まれてきた中で確立されたフィロソフィーであったり、費やした時間に伴う画力であったり、そのようなものが根本にあるからこそ人の心を豊かにできるのではないかなと思います。

絵と Instagram と音楽

2016年から、描いた絵を保存・公開しようと思い立ちInstagram を始めた。絵を人に観てもらえるというのが良い緊張感となり創作意欲に繋がっているという。 「Instagram で発信をすることで、世界中の人と繋がることが出来る。私の絵を観て楽しんでくださる人がいるのはとてもありがたいこと。そこで生まれるコミュニケーションを大切にして、豊かな繋がりを創っていけると嬉しい」とsiijz さん。 日常生活ではラジオや音楽を聴く中で、そこから流れてくる歌詞やメロディから案を思いつき絵を描くことも多いとのこと。音楽のように直接的ではなくても、受け手に影響を与えられる絵を描きたいという想いが根底にある。

最近では、SNSを通じて似顔絵を依頼されたり、描いた絵を使用したいという依頼もあると言う。

(Free Fall First 新曲「Bloom of Youth」のジャケット)

(SEMPRE. ロゴデザイン)

キャンバス・ライフと今後の目標

“見応えのある絵”、“楽しい絵”、“おしゃれな絵”、“凄みを感じる絵”、“ほっとするような絵”、 “飾りたいと思う絵”。絵にも様々なタイプがあると思います。絵を「自分の手元に置いておきたい」、「欲しい」と思ってもらえることは、ゴールではないけれど密かに目標としている事です。 描くからには、見てもらいたい。見たからには、何かを感じて欲しい。何かを感じたのであれば、どうか作品をその手元に引き寄せて欲しい。そして何度でも見返して欲しい、などと思います。 でも、私の描いたものがなんとなく目に留まった、なんていうのはそれだけでとても嬉しくて幸せな事です。見てくださる方々に、この思いがすこしでも伝わりますように。 また、Canvas Life Project に対する印象を聞くと、 「モノづくりが好きな人なら多くの人が憧れるであろう商品化、日用品をデザインすると いったことを 実現可能にする魅力的なプロジェクトだと思う」「アーティストがアートと 向かい合う姿勢や葛藤など、これまでの創作活動を知り、そのストーリーを踏まえて作品 を観ることができる。そうする事で、これまでとは一味違う深化したコミュニケーションが 生まれる。作品として表現されたものだけではなく、アーティストのキャンバス・ライフを フォーカスする特別なツールになれば良いなと思う」とのこと。 製品に関しては、「原画の細かな所まで精密に再現できていることに驚いた。キャンバスには色々な本革を使っているとのことで、ここもまた原画とのギャップを極めて小さくしている要因だと思う。」と多くの可能性を見出している様子。

あとがき

現在生み出される作品は、モノクロの色使いにも関わらずその人物や風景から、吸い込まれるような純粋さと強さ、そして情緒を動かされ観る人が思わず憑依してしまう魅力にいつも魅了されています。
幼少期の苦い経験があったから、それと葛藤しながら積み重ねたものがあるからこのような魅力が備わったのかな、と感じながらいつも観させて頂いています。 最近では、スマートフォンやタブレットを使ってペンタブで絵を描くデジタルアートにも挑戦中とのことで、アナログとデジタルを融合した新たな表現を観るのがとても楽しみです。今後も様々な商品を一緒に創って行けたらと思っています。

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